中小企業庁発行メルマガの巻頭コラムより
◆新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大都市圏の企業が地方に本社を
移す動きがある一方で、地方企業自身が大都市圏に住む副業・兼業人材を活用
する動きも活発化している。従来は地方に移住してまで転職を希望する人材は
限られていたものの、コロナ禍によりテレワークが一気に普及。生活の拠点を
都市部に維持したまま、リモート環境を使って地方企業で月に数日程度の副業
が可能になったからである。
◆島根県の出雲市、松江市、浜田市と鳥取県米子市に、手打ちうどん・そばを
中心とした和食レストランを9店舗展開する玉木製麺(島根県出雲市)もその
一つだ。同社の主要取引銀行と提携する兼業・副業人材マッチング会社、
JOINS(東京都千代田区)のサービスを活用し、首都圏に在住する副業人材3
人を採用した。それぞれ玉木製麺の「ブランディング」「DX(デジタルト
ランスフォーメーション)化」「マーケティング」という経営課題を解決す
るために、オンライン・リモートで働いている。
◆首都圏の副業人材を採用したのは、「山陰地方では高度な専門領域の人材が
不足しているためだ」と玉木暢社長。例えばDX(デジタル技術を駆使してビ
ジネスに変革をもたらすこと)一つとっても、地元で高い専門性を持つ人材を
採用することは容易ではない。またコンサルティング会社に依頼するとかなり
の金額になってしまう。これに対し、コストを抑えながら、オンラインで部分
的に必要な能力や成果物を提供してもらい、先端技術を導入することが可能に
なるという。
◆玉木製麺は1948年(昭和23年)に玉木社長の祖父が創業。もともとは社名の
通り、そばやうどんを製造・販売する製麺業だった。1977年に先代社長の父が
取引先から勧められ、外食部門に進出した。この決断が奏功し、現在では外食
業を中心に年商10億円、従業員160人の規模に成長した。
◆ところが5年以上前から、祖業である製麺事業の赤字体質に悩まされていた。
「製麺事業の採算性をどう改善するかが課題だった」と玉木社長は振り返る。
自社製麺工場の現場社員を交えて事業の将来を考え、外部機関の専門家派遣も
経て、事業を根本から洗い出した。この結果、納得できる商品を製造する協力
工場を得られたこともあり、2020年3月に工場を閉鎖。非外食部門で黒字転換
を果たした。
◆今後は事業の見直しによって生まれた製麺工場跡地などを活用し、賃貸事業
など新事業に取り組む方針だ。地域の賑わいにつながる事業として、地元の異
業種と連携することも考えている。副業人材3人には、その将来像を描く基盤
づくりを期待する。「属人化しない仕組みづくりのためにも、しばらくはこう
した副業人材の登用により業務改善を進めていきたい」と玉木社長は考えてい
る。(編集子)
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